はじめに

コンタクト/コリジョンスポーツの競技人口は、どのレベルにおいても増加傾向にあります。コンタクトスポーツの参加者の筋力や運動能力は向上し、最も競技力の高いエリートレベルでは、コンタクト時に非常に大きなエネルギーが発生することになります。

滅多にないことですが、コンタクトスポーツ、そして時にはコンタクトのないスポーツでも、大けがや重病が毎年発生しています。

人気の高いエリートレベルのスポーツ競技では、医師や救急救命士、または救急医療技師といった複数の医療スタッフが救急処置に備えて待機していますが、これとは対照的に、エリートレベルではないスポーツの現場では、プレーヤーに救急処置を施すための訓練経験や器具を十分に備えた医療スタッフの数に限りがあります。特に遠隔地やアクセスが困難な場所で、一刻を争う、生命を脅かすけがや病気が発生した際、救急車の到着までにかなりの時間がかかってしまうことがあります。

医師、理学療法士、その他の医療従事者には、プレーヤーやチームに対して、ピッチサイド、レーストラック、プールサイドなど、競技の現場で救急処置を施すための優れたスキルを身につけ、必要な用具を備えていることが求められています。これらの医療従事者は、試合やイベント当日だけでなく、練習施設やグラウンドなど、けがや病気が多く発生する場所でもスタンバイしておく必要があります。

本コースは、生命を脅かす、または、四肢の重傷外傷、または、内科的問題など一刻を争う状態に見舞われたスポーツマン・スポーツウーマンに、救急処置を施す際に必要な医療技術と器具装備について紹介することを目的としています。受講者は、病院前環境でのケア、救急医療、スポーツと運動医学などの分野で経験豊かな講師陣により、最適な学習環境下でマルチモダリティ型トレーニングを経験できます。

コース受講者はコース修了後、救急処置の現場で実践できるようになることを目標として、シナリオの適用、分析、評価に沿った知識と技術を的確に習得できているかどうか評価されることになります。

オンラインで提供されるテキストと問題集は、受講者が十分な準備をできるようにするためのものです。コースは救急処置の基礎から始まり、各章ごとに進められていきます。SABCDEアプローチに焦点を置き、生命を脅かす、または、四肢の重傷外傷、または、内科的問題など、一刻を争う状態の処置方法と評価プロセスについて理解を深めます。外傷のあらゆる側面の管理、温度関連疾患などの医療緊急事態、また医療器具や救急医療用薬剤、医療ガスについての紹介などに注意を払う一方、さらには『ラグビーにおける救急処置』を提供する上での救急処置計画の重要性についても重点を置いています。

各章の最後には質問集があり、次の章へ進む前にすべての質問に正答しなければなりません。この質問集は、次の章へ進む前にもう一度見直すべき内容を取り上げています。オンラインコースの各章を終了すると、オーディオスライド集、スキルとシナリオステーションビデオ、そしてコースプログラムなど、その他のコース内容へのアクセスが継続的にできるようになります。受講生はこれらの資料を活用し、対面講習に向けた十分な準備ができます。

本コースは、プレーヤーのけがや病気における救急処置を大きく向上させることを意図していますが、けがや病気、あるいは、死亡数の低下に繋がるだけでなく、能力評価を通じてケア業務を行う者が自信をつけることができます。