はじめに

顔面損傷の発生数は、スポーツで発生するけが全体の8%に相当します。顔面損傷では出血量が多いため、医療従事者は重傷を負ったプレーヤーの管理と治療の原則に則って対応に当たるようにします。

第1章にあるように、プレーヤーが重傷を負ったり体調に異変を感じたりする場合、初期評価と適切な救命処置、または、四肢切断を回避するための応急処置を安全な環境で速やかに実施しなければなりません。

プライマリー・サーベイとその他の必要な蘇生措置が完了したら、セカンダリー・サーベイでその他のけがの評価と管理を始めます。顔面損傷はこの時点で診断します。

スポーツで顔面損傷を負った傷病者は、ほとんどの場合、正常な気道を保てます。しかし傷病者の意識レベルが低下している場合、顔の中央部に重度の骨折が見られ、鼻咽腔または口腔内に出血が流入している場合は、特にプレーヤーが仰向けになっていると、気道閉塞のリスクが高まります。気道の管理については、第1章で取り上げています。

セカンダリー・サーベイを組織立てた手順で実施することが大切になります。セカンダリー・サーベイでは、軟組織と硬組織の両方を検査し、特に重要な口腔を含め検査漏れがないようにします。