不適切なABC評価

あなたは、静かに呼吸していれば気道が確保されているとか、呼吸が努力性呼吸になっているかを確信できますか?確信が得られない場合は、負傷者の状態を確認できるようなよりよい姿勢に動かすべきです。

意識消失の場合、例えば、頭部を前屈している場合や、顔面外傷により出血がある場合など、頭部と頸部の位置関係によっては軟部組織による気道閉塞を来している可能性があります。気道が確保されていない限り、酸素は肺に取り込まれず、アスリートが死に至る可能性が生じます。負傷者がうつぶせの場合、重力の影響で舌による気道閉塞を来さないため、負傷者を動かす必要がない場合と、顔面が押しつけられ舌が気道閉塞を来す場合があります。負傷者を動かす必要があるかどうかを判断する前に、個々に応じた評価を行なわなければなりません。

気道の評価については、別章でより詳細に説明されています。

脊髄損傷により呼吸筋が麻痺状態にあると呼吸不全となり、次に酸素欠乏状態となり、最終的には意識消失や心拍停止を引き起こします。呼吸不全に対する評価と対処が遅れると、負傷者は死に至る可能性があります。

DR ABCの評価が思わしくなく、気道の改善が必要だと考えられる場合は、アスリートの体勢を変えることも可能です。例えば、すぐに仰臥位にして、下顎挙上など気道確保を実践することや、気道から血液や嘔吐物を取り除くために負傷者の体位を変えることなどがあります。