腹部内出血

体には、損傷し出血する可能性のある臓器がたくさんあります。典型的な臓器は、上腹部の右側にある肝臓、左側にある脾臓で、大部分が下位肋骨で保護されています。

腹部の解剖学的構造

肝臓

肝臓は、体の「工場」であり、体内で多くの化学物質を処理し、私たちが食べたものを様々なホルモン、酵素や貯蔵エネルギーに変えます。右側下位の肋骨の後ろで、横隔膜の下にある大きな臓器です。スポーツをしている間、荒い呼吸をすると、横隔膜が下がってその上にある肺に空気を吸い込もうとし、肝臓は右側肋骨の下縁からのぞけるようになります。肝損傷は稀ながら起きうることで、コンタクトスポーツの場において、断裂したり裂けたりします。

脾臓

脾臓は左側下位の肋骨下にある、より小さな臓器です。車のオイルフィルターに少し似た役割を果たし、循環から古いまたは不要な血球をろ過して取り除き、また感染と戦う白血球が急に必要となる場合に備えその貯蔵をしています。特に腺熱など、感染によっては脾臓が著しく肥大することがあり、とてももろく断裂しやすい臓器で、肋骨よりかなり下位に突出しまた腹部に交差することがあります。

伝染性単核症は、一般的にラグビーのようなコンタクトスポーツをする、若い成人に見られるウィルス性疾患です。線熱に罹患した人は、肥大した脾臓の損傷や出血のリスクを考慮し、医師により脾臓が正常に戻ったと診断されるまでは、ラグビーをプレーするべきではありません。

腎臓

腎臓は体の両側に存在する対器官で、肝臓と脾臓の後下部に一つずつ存在します。血液中の老廃物を取り除き、排尿できるように尿を作ります。

腹部損傷の可能性を示す兆候

  1. 「息切れ」し改善傾向が見られない。
  2. 腹部の右側(肝臓)または左側(脾臓)に痛みが限局する。
  3. 血液が胃壁に刺激を与え、痛みが他の場所へも広がる放散痛がある。
  4. 時間の経過とともにショック症状を示し、青ざめることや、混乱を来たす場合がある。
  5. 真っ赤な血尿が出る場合がある(腎障害を示唆する)。