第8章―心停止と気道閉塞

この章の目的

  1. 心停止とは何かを理解する。
  2. 「救命の連鎖」と救助者の役割を正しく理解する。
  3. 心肺機能蘇生(CPR)の認識と開始の重要性を正しく理解する。
  4. 自動体外式除細動器(AEDs)を理解する。
  5. 心肺蘇生法ガイドライン2010、迅速な除細動と心マッサージの中断を最小限にすることの重要性を理解する。

一次救命処置

このトピックスのガイドラインは、あなたの地域がアメリカ心臓学会(AHA)またはヨーロッパ蘇生学会(ERC)のどちらに該当するかで異なります。どちらのガイドラインについて学びたいかを選択してください。

アメリカ心臓学会のガイドライン

このセクションは、アメリカ心臓学会のガイドラインに基づいています。

Lucy Clarkeと Dr David Owensが、アメリカ心臓学会のガイドラインの説明に従って、一次救命処置モデルをデモンストレーションします。

ヨーロッパ蘇生学会のガイドライン

このセクションは、ヨーロッパ蘇生学会のガイドラインに基づいています。

Dr Jonathan HansonとDr Brian Carlinがヨーロッパ蘇生学会ガイドラインの説明に従って、一次救命処置モデルをデモンストレーションします。

序論

心停止は心臓が鼓動を止めた時に発生します。心臓の鼓動がないと、循環系では血圧はゼロになり、脳や他の重要臓器に血液が届かなくなります。除細動器使用(AED)を併用した一次救命処置(BLS)と心肺機能蘇生(CPR、または「心臓マッサージ」)により心臓を再度活動させる試みをして循環系機能を補助しなければ、5-10分以内で脳が機能しなくなったり、重大な脳の損傷が起きることになります。

BLSは保護用フェースシールドの以外の器具は用いずに、気道を確保し、呼吸と循環機能を補助するプロセスです。近年、自動体外式除細動器(AED)は公共の場で広く利用可能になっており、過去に使用経験がない人でも、心臓を再始動させるために心臓に電気ショックを与えることが簡単にできるようになっています。

アスリートに心停止が起きることは稀な事象です。しかしながら、スポーツをしている若い成人の死はとても感情的になりやすく、メディアでも注目されます。最近の数値によると、その発生率は43,000例中に1例と示唆されます。プレーヤーよりも、観衆やチームマネージメントのメンバーが心停止を発症する方が、はるかに確率が高いと言えます。

前述にかかわらず、いかなる目撃されていないところやボールから離れたところでプレーヤーが突然倒れた場合は、心停止の可能性があるとして扱うべきです。誤ってCPRを開始したとしても、プレーヤーがすぐに目を覚ます、またはあなたがやっていることを動くなどして嫌がるために、ほとんど害はありません。また自動除細動器(AED)を使用した場合でも、AEDは電気ショックが必要かどうかを感知する点ではで極めて正確であるため、ほとんど害は起きません。蘇生開始が著しく遅れると、数分のうちに脳へのダメージや死亡に至る可能性があります。

スポーツ選手に心停止は非常に稀な事象ですが、発生することはあります。