第9章―四肢の傷害(ケガ)

この章の目的

  1. 筋肉、骨および関節の解剖学的構造を学ぶ。
  2. 発生する四肢の傷害(ケガ)の種類について、正しく理解する。
  3. 軟部組織管理のPRICE処置について理解する。
  4. 激しい外傷に見えても、DR ABCが最も重要であることを正しく理解する。
  5. 吊り包帯と副子の知識を向上させる。

序論

捻挫や筋挫傷などの筋肉や関節のケガは、ラグビーを含むあらゆるコンタクトスポーツでよくあることです。他のコンタクトスポーツにおいてもそうであるように、時においては骨の損傷(骨折)や関節の脱臼が発生します。いずれもアスリートがプレーを続けることを妨げ、多くの場合において識別しにくいことがあります。

骨は関節の中で強い靭帯によって結合されていていますが、靭帯が断裂や伸ばされることは「捻挫」として知られています。折れた骨のことを医学用語では骨折と言います。靭帯が断裂して、関節を形成している骨の両端がお互いにすべってしまうことがあり、これは「脱臼」として知られています。

筋肉は関節をまたいで機能し、関節に強い腱で付着しています。筋肉や腱は断裂や「筋挫傷」を起こすことがあります。そのようなケガをしたアスリートは、痛みを訴え、手足を動かすことを嫌がることや、動かせないことがあり、変形を来すことや、急に腫れる場合があります。