酸素

身体機能を維持するには、酸素は必要不可欠です。酸素を最も必要とする主要臓器は脳と心臓です。 脳は、酸素供給が3分以上停滞すると重度の低酸素症を発症します。 主要臓器への酸素供給が断たれるような外傷では、深刻な結果を招きます。 すべての外傷患者、および、ほとんどの医療緊急事態の対応で、酸素の投与を考慮します。

投与 酸素は、非再呼吸式酸素マスクで投与します。 酸素を投与する前に、まずリザーバーバッグに酸素を貯める必要があります。そのためには、酸素ボンベからのチューブをリザーバーバッグ繋ぎ、バルブを毎分15Lに設定し、図のように指でマスクのバルブを摘み、バッグ内にしっかりと酸素を入れます。

非再呼吸式酸素マスクを使った場合、呼気の再呼吸を最小限に抑えるため、適切に使用されれば、毎分8Lの流量でおよそ85%の酸素を供給できます。 マスクを傷病者の頭から装着して、鼻から口にかけてマスクで覆います。傷病者が十分に呼吸している場合は、マスク内が曇ります。呼吸の間にリザーバーバッグが膨らむはずです。膨らまない場合は、酸素流量を最大毎分15Lまで増加します。

けがによっては、換気補助が必要となり、補助酸素を取り付けたバッグ・バルブ・マスクを使用します。

酸素投与における禁忌 酸素の投与ではいくつかの禁忌があります。 慢性閉塞性肺疾患を持つ傷病者に、高濃度の酸素を投与すると有害作用が発生する場合があります。しかしながら、高流量の酸素を応急処置の最初の1時間投与することで、重大な副作用が発生することはほとんどありません。