現場における安全性

応急手当の場面で起きうる最大の惨事は、1名の傷病者を救助する際に、周囲の危険性や救助者自身の注意不足によって、救助者までもが負傷してしまうことです。誰かの救助を行うよりもまず、現場に近づく前にその安全性を確認することが何よりも重要です。例えば、周囲の交通障害、電気の障害、水の障害などに注意を払わなければなりません。

試合が続行している場合、救助者もケガをする危険があります。周囲のプレーヤーがパニックに陥ったり、救助しようとしたりすることが障害になり得ます。事態を収拾し、言葉と行動であなたが責任者であることを示して、パニックが生じることを防いで下さい。意識がなくなった人をひっくり返すなど、プレーヤーが善意で行う行為が、すでにある損傷に深刻な悪影響を与える場合があります。

できるだけ速やかに、他のプレーヤーを現場から離れさせること

ラグビーにおける障害

レフリーは事故に気付かず試合を続行させるかもしれません。気づいてもプレーが途切れるまで試合を続行させるかもしれません。

このため救助者は、プレーを続行している1人あるいは複数のプレーヤーと接触する危険にさらされます。そのため、救助者がフィールドに入る場合は、自分自身と傷病者の両方の立場から、自分が行おうとしている行為のリスクとメリットを考慮し、試合をただちに中断させるべきだと判断する場合は、そのことを役員にどのように伝えるのか明確にしておかなければなりません。

応急手当をする者は、負傷または体調の悪いプレーヤーに近づいても安全であることの確認が重要です。安全な方法は以下の通りです:

  • 大声で助けを求める
  • 現場の状況判断
  • 安全を確保する
  • プレーヤーを評価する

競技区域に入るときは、プレーヤーの処置を行っていることをチームメンバーなどに知らせ、役員にも知らせましょう。安全とは、時と場所によって動的に変化するものであり、事故が発生した当初に1回だけ判断を下すものではないことを理解することが重要です。

ピッチ上で負傷したプレーヤーの処置を行う時は、安全面と識別を容易にするために、正しい衣服を着用することが理想的です。明るい色のビブスを着用することで、役員にあなたがピッチにいることを知らせることができます。事前に両手に医療用手袋を着用しておくと、プレーヤーに対応する際の準備時間を短縮することができ、また、特に血液などの体液を処理する際には、自分自身をしっかりと守ることができます。

環境障害

水難救助はこのコースに必須の内容ではありませんが、水中で助けを求めている意識のある要救助者を助ける際には、絶対に水の中に入らないことを知っておかなければなりません。ライフジャケット、ラグビーボールやその他何か浮くものなど、その場にあるものを傷病者に投げ渡し、沈まないようにして岸まで泳ぐ手助けをします。長い棒や木の枝、ロープなどで岸まで誘導してあげることも可能です。

電気

屋内での感電、または屋外の電源や電線に接触して感電した負傷者がいる場合は、電力源と接触していないかを確認します。もしケーブルなど電力源と接触している場合は、木製のほうきの柄など非伝導性物体を用いて、負傷者から注意深く遠ざけます。