意識不明の頭部損傷を起こしたプレーヤー

意識不明の頭部損傷では、首の疼痛や感覚喪失など、プレーヤー自ら症状を訴えることが出来ません。そのため、頭部や重度の頸部損傷の可能性を念頭において、負傷したプレーヤーを手当てすべきです。これは、「用手正中固定」 (MILS: Manual In Line Stabilisation)と呼ばれるアプローチで実践され、頭部と頸部に予想外の動きをさせないように、保護し安定させます。特に選手を不用意に動かしたり、横向きに寝かせたりさせないことが重要です。

ヒトは意識不明の際、筋肉が弛緩しリラックスします。筋肉である舌は後方に落ち込み、気道を塞いでしまう(舌を飲み込んでしまう)可能性があります。そのため、全ての負傷したプレーヤーの気道を確認し、呼吸ごとに肺から空気を出入りさせるための気道を確保することが最優先となります。

ほとんどの意識不明に陥ったラグビープレーヤーは、その状態が続くのは、せいぜい数秒から1分間程度です。プレーヤーがこれを超える時間で意識不明の状態が続くことは極めて稀ですが、もちろん起こりえないことではありません。