頚椎

正常な頚椎は弯局していて、橋のアーチに似た構造になっています。この弯局により頭の重さを支えることができるのです。頚椎損傷が起きやすくなる機序のひとつとして、この弯局が消失し、突然の外力に対応できなくなるような直線的な配列が挙げられます。

急な屈曲(屈曲強制)

頚椎の前方過屈曲によるストレスにより頚椎間の靭帯は断裂を起こし、不安定性が生じます。近代ラグビーにおける、ボールを守るために頭部を前方に屈曲し、肩を低くしてタックルに素早く入り込む動作は、そのような機序をもたらす動作の一つです。スクラムが崩れた時も急な屈曲が起きます。

脊椎圧潰(軸圧損傷)

高所から頭頂部を下に落下するなど、頸部をまっすぐにした状態で垂直方向に加わる力(軸圧)は、脊椎損傷のリスクを高めます。例としては、ハイボールを競ってたり、またはスピアータックルや崩れたスクラムにより頭から地面に落ちるような場合です。

屈曲と捻転(回旋を伴う屈曲)

頚部を前方または後方に屈曲しながらの回旋を伴う動きも、骨や関節、あるいは椎間板の損傷の原因になります。これらは多くの場合、スクラムに関連する機序です。

意識消失や脊椎損傷の可能性のあるラグビープレーヤーは、あらゆる姿勢で落下したり転がり込む可能性があります。仰向きであったり、うつ伏せであったり、横向きであったりします。頭を動かしたり、または歩き回ることができながら、重大な頸部損傷が潜んでいる場合があります。