頭部損傷と頚部損傷

意識障害をきたしたプレーヤーは、自分の頸部に痛みや圧痛があるかどうかを伝えることはできません。頭部損傷においては、首(頚椎)の骨折をきたしている場合があります。頭部損傷を受けて意識不明の人や、首の痛みを訴える人に対しては重篤な頚部損傷を考慮する必要があります。不必要な動きによって、頚椎の骨損傷を麻痺が伴なう脊髄損傷に発展させてしまう可能性があるので、頭部と頸部を用手正中固定(MILS)によって保護し、プレーヤーが動かないようにすることが重要です。

時間は味方であり、短時間MILSで単純に首を保護し、DR ABC評価を行い、プレーヤーが意識を回復させ、自ら頚椎の問題はないと伝えることができれば、MILSを解除できる場合があります。しかしながら、何か疑いがある場合は、MILSは持続してください。意識を消失したプレーヤーは全員、プレーから出させる必要があり、一人にさせることや、車の運転をさせることがあってはいけません。また、できる限り早急に医師による診察を受けさせてください。

頚部の痛み、筋力低下、呼吸困難や手足の感覚変化など懸念される症状があったり、プレーヤーが明らかに混乱している、あるいは意識を失っている場合は、より経験のある援助者が来るまでMILSを持続させABCを観察してください。