脱臼

脱臼は、関節を支えている靭帯が伸びる、または断裂して関節内の骨の正しい位置関係が損なわれた時に発生します。脱臼は通常、著明な四肢の変形をもたらします。脱臼した関節周囲の軟部組織が過度に引き伸ばされて、かなりの痛みを引き起こし、また四肢の血液循環や神経支配に問題を引き起こします。したがって、脱臼は緊急事態としてとらえてください。それでもやはり、脱臼し変形した関節の応急手当で落とし穴となるのは、その外観によって、DR ABCの原則や、重大な頸部損傷や気道閉塞など、他のより重大な問題から救助者の気がそれて見落としてしまうことです。それゆえに、これらのケガは「注意をそらすような」損傷と呼ばれることがあります。注意をそらされないようにしてください!

ラグビーで、脱臼を起こす関節として多いのは上肢にあり、中でも肩関節と指に最も多く見られます。骨折がある場合は、足関節にも脱臼が起きます。同じくDR ABCとPRICE処置が適用されますが、事態の緊急性とプレーヤーの苦痛があるので、損傷した四肢を保護し固定して直ちに地域の救急病院に搬送することが必要になります。

初めて起きる肩関節の脱臼は特に痛く、多くの場合、明らかな変形が起きます。プレーヤーの腕は、最も楽な位置で固定するのが良いです。方法としては、プレーヤーが着ているラグビーシャツをひっくり返して下縁の部分を使ったり、または幅広のアームスリングを使い腕を包むように固定することや、プレーヤー自身に腕を持たせることも可能です。痛みが許容できる場合は氷をあてますが、病院への迅速な搬送が必要です。

指の脱臼は、関節の部分で明らかな変形が起き、ひどい痛みをもたらします。おそらくプレーヤーは病院への搬送中、手を固定するために自分で手首を持つでしょう。

足関節脱臼は、通常骨折を伴い、脱臼骨折として知られています。救急車が到着するまで、固定しておきます。

決して脱臼した関節を元に戻そうとしないでください。これには経験と教育が必要であり、通常医師はレントゲン写真を撮って確認をしてから判断します。