低体温症(Hypothermia)
低体温症とは、中核体温が35℃未満と定義されています。低体温症は寒さに長時間さらされることで発症します。寒冷時に風が強いと、低体温症になる危険性が高まります。冷たい濡れた衣服や水に囲まれていると、低体温症は悪化します。
中核体温が低下すると、多くの補正機構がこれを打ち消そうとします。患者は、体温を維持しようと末梢の機能を停止させます(血管収縮)。コア循環量が相対的に増加するため、尿意を催すことがあります。患者はまた、筋肉の動きから熱を発生させる動作である震えを起こすかもしれません。シバリング反応は低体温ではみられないため、みられないからといって低体温症とは断定できないことに注意することが重要です。
体温低下が進むと全身の機能に影響が及び、最終的には心停止に至る恐れがあります。
低体温症に対処するためのステップ
- 最初のステップは、患者を寒い環境から解放し、濡れた衣服を脱がせ、皮膚をやさしく乾燥させることです。患者の動きを最小限にするため、濡れた衣服は脱ぐのではなく、切るべきでしょう。これはABCDE評価と同時に行い、患者を再加温してくれます。
- 軽度の低体温症では、濡れた衣服を脱がせ、患者を乾燥させ、単に暖かい衣服で包む/着せるだけで十分な場合があります。特に頭部は熱損失が大きいため、確実に覆うことが重要です。
- より顕著な低体温症の場合は、温水浴を使用して積極的に患者を温めることが適切でしょう。これは、患者の意識レベルが正常で、他に治療を必要とするABCDEの問題がない場合にのみ可能であることは明白なことです。
- 再加温中は、著しい血管拡張(血管拡張)が起こる可能性があるため、心拍数と意識レベルをモニターすることが重要です。
- 低体温の患者は、容態が急速に悪化した場合に備えて、注意深く観察することが重要です。
- 不適切な刺激により心停止に陥る可能性があるため、患者を優しく扱うことも重要です。
- 軽度の低体温以外の患者は、できるだけ早く適切な救急科に搬送しましょう。