身体性コンピテンス(=身体能力)

すべてのプレーヤーは、競技をプレーするために適切な身体的準備をしていなければならない。これを身体性コンピテンス(身体能力)という。ラグビーは、身体的接触を伴いながら攻め込んだり(敵陣に入る)、かわして逃げたり(そうすることにより捕まらない)する競技です。コーチは、プレーヤーの身体性コンピテンスを高めることで、プレーヤーが現在競技をプレーするための準備を整え、将来の身体的発達のための強固な基盤を作り上げていくことができるのです。

FUNステージ(小児期早期、6-9歳)

FUNステージの初期段階では、ラグビーやその他のスポーツへの参加を通じて、プレーヤーの身体的リテラシー(身体への深い知識と理解)を発達させることが大きな目的となります。身体的リテラシーの育成は、以下を通じて鍛えます:

  • 常に100%参加し続けていられるゲームベースのFUNアクティビティ(FUNは、Foundation=基礎、Understanding=理解、Nurturing=育成)
  • ゲーム感覚で楽しみながらスキルを身につけることのできる、イベントや少人数制のスモールサイドのタグやタッチゲームなど。

スピード、アジリティ(敏捷性)、バランス、コーディネーション(身体の動きの協調性)、そして、走る、跳ぶ、投げる、蹴る、捕る、身体をコントロールする能力(知覚認識)がつかなければ、子どもたちはラグビープレーヤーとして不十分なだけでなく、多くのスポーツ活動に参加する自信や能力も身に付かないからです。

このような幼少期におけるコーチの役割は、よく計画され、うまく伝えられ、よく練られており、うまく組み立てられた、アクティビティや楽しいことが100%詰め込まれた構成された練習を提供することです。どの練習も、その後のプレーヤー育成の基礎となるFUNdamental(基礎+理解+育成のための基本的)なスキルを伸ばすものでなければなりません。

コーチングの仕方

先に述べたように、すべてのセッションは、アクティブで、目的を持たせた、楽しめる、そして、安全の原則に従っていて、ゲームを通じたコーチングを可能な限り用いるべきです。

コーチングセッションの時間は、全体で約60分とします:

  • ウォームアップ(身体性コンピテンスの向上) 約15分
  • セッション本体(ゲームベース)約35~40分
  • クールダウン(身体性コンピテンスの向上) 約5~10分

すべてのセッションは、前回の試合でうまくいかなかったことを修正するだけでなく、プレーヤーを育成するための長期的な計画の一環として、目的や目標を設定しましょう。

コーチングの内容

このステージにおいて、コーチは、次のような点でプレーヤーを育成します:

身体性コンピテンス(=身体能力)

身体性コンピテンスは、ウォームアップとクールダウンのガイダンスに従い、ゲームセンス・コーチングを行うことで向上させます。取り組むべき主なエリアは、以下の通りです:

  • アジリティ、バランス、そしてスピード ― スプリント、加速、減速、方向転換、ジャンプ、転倒、立ち上がり方などを通して養います
  • コーディネーション(身体の動きの協調性)― 体操アクティビティやゲームセンス・コーチングで空間認識力や身体的(知覚)能力を養います
  • ストレングス ― アニマルウォークや自重トレーニングを取り入れた効果的なウォームアップ、ゲームベースのアクティビティ、そして適切なクールダウンで養う
  • 持久力 ― ゲームセンス・コーチングで鍛える
  • 柔軟性とリカバリー ― 効果的なウォームアップと適切なクールダウンを通じて行う

適切なウォームアップの組み立て方

セッションの中で行うウォームアップは約15分とし、プレーヤーがセッションに向けて徐々に準備できるようにします。これは、そのセッションの目的に合った特定のスキルを指導する時間でもあることを忘れないでください。

ウォームアップには、以下の要素を含めます:

  • 全身運動 ― 全身の血流量を増加させる ― 3分
  • 徐々に動きの幅を広げる ― そのセッション特有の動きに基づいた動的柔軟性。アニマルウォークと体操アクティビティを用いて、プレーヤーの身体性コンピテンスを鍛える ― 6分
  • 方向スピードテクニック/かわして逃げる ― セッションでプレーヤーのスピードを最大限まで引き上げることを目的とする ―スピードの向上、判断力と反応力、加速、減速、方向転換を行うことを目的とした特定のエクササイズを実施する ― 3分
  • コンタクトの準備とストレングスの向上 ― 体力づくりに焦点を合わせながら、強度を高めることを目的とします。自重トレーニングとレスリングアクティビティを使用することで、より高いレベルの強度を実現させます ― 3分
  • 適切な内容については、P34~35のアクティビティメニューを参照してください。

クールダウンの重要性

セッション終了後に適切なクールダウンを行うことは、プレーヤーにとって重要なことです。クールダウンについても、身体と心が安静時のアクティビティレベルに戻れるよう、適切に構成する必要があります。また、クールダウンは、特定のスキルについて低い強度で引き続き指導する機会でもあります。クールダウンには、以下の要素を含めます:

  • 全身運動 ― アクティビティ/ゲームがジョギングのペースより速くならないように注意する ― 3~5分
  • 静的ストレッチ ― プレーヤーの柔軟性を高め、将来的な怪我の可能性を軽減する ― 5分
  • 適切な内容については、P50~52のアクティビティメニューを参照してください。

スキルのコンピテンス(=スキル能力)

スキルに関しては、ゲームセンス、または、ホール・パート・ホールのコーチングと効果的なウォームアップおよびクールダウンを通して指導します。コーチは、以下のエリアにおいてプレーヤーを育成することを目指します:

  • ハンドリング
    • 横へのパスを含む全方向へのパス
    • キャッチング ― アーリーハンドキャッチ、ハイボール、頭上(ジャンプ&キャッチ)、ローキャッチ
  • ランニング
    • かわして逃げるスキル ― すばやく身をかわし、ディフェンダーから逃れる
  • ディフェンス
  • チームワーク
    • チームとしての攻め方、守り方、前に出ること、コミュニケーション
  • 継続
    • プレーを止めない

メンタルの要素

コーチは、プレーヤー一人ひとりの自信に基づいた土台作りに努めなければなりません。

コーチは、プレーヤーが成功するための機会を提供し、身体的、技術的、精神的、そして、ライフスタイルのすべてにおいてパフォーマンスを向上させるための基本目標を設定することで、プレーヤーに自信を持たせることができます。

可能な限り、セッションにすべてのプレーヤーを参加させます。ゲームベースのアプローチを取り入れ、セッション中にすべてのプレーヤーができるだけ多く活動できるようにします (プレーヤーが自分の順番を待つためにただ立っていたり、参加していない時間が多くなったりするドリルベースのコーチングは避けましょう)。

ゲームの条件を調整して、すべてのプレーヤーの成長を促します。よりスキルに長けているプレーヤーには、セッション中に別の目標を設定する必要があるかもしれません。同様に、サポートがさらに必要なプレーヤーにも、別の目標を設定する必要があるかもしれません。セッションをできるだけ楽しいものにし、自宅やセッション以外の場所でも練習やプレーをして、トレーニングで設定した課題に対する解決策を考えたりすることで、プレーヤーの自発的なやる気(本質的な)を促すようにしてください。

ゲームを通したコーチングを行うことで、イメージスキルを習得させることができます。うまくいったことを取り上げて、プレーヤー自身に何が一番うまくいったかを振り返らせることで、次回に向けたポジティブな考えを強化させることができます。

例えば、2対1の状況をつくり、プレーヤーがトライを決めた場合、「何がうまくいったのか、そこからさらに次はどうしようと思うか」と尋ねてみましょう。また、他のプレーヤーに同じような状況でどうするかを考えてもらうこともできます。

ライフスタイルの要素

このステージは、プレーヤーたちが生涯にわたってスポーツを続けられるような習慣を身につけるのに理想的な時期です。

  • 安全性: ワールドラグビーは、すべてのプレーヤーにマウスピースの着用を推奨しています
  • バリュー(価値): このステージでは、パートナーシップやチームワーク、チームメイトや対戦相手、審判、そして、ボランティアなどの人たちへのリスペクトなど、ラグビーの精神や価値観を紹介することが肝要です
  • ハイドレーション(水分補給): プレーヤー用のウォーターボトル(水筒)を常に用意しておきます。プレーヤーには各自でウォーターボトルを持参するよう促しましょう
  • 栄養と休息: プレーヤーやその親(保護者)と協力し、若年層のプレーヤーの成長と健康に必要な栄養と睡眠がしっかりとれるようにしましょう。

FUNステージ(小児期後期、9-12歳)

このステージの後期では、基本的なラグビースキルの習得に焦点を合わせます。

この年齢層は、「スキルハングリー年代」と呼ばれ、モチベーション的に見ても、子どもたちはこの時期にスキルを習得しようとする時期なので、早い段階で培われた子どもたちの運動スキルを基にゲームスキル積み重ねるのに理想的な段階となります。スキルの習得は、ゲームベースのアプローチによるものとし、将来試合でプレーする際の基盤となる基本的なランニング、ハンドリング、コンタクトスキルを磨くことに重点を置きます。

試合の機会は、追加のトレーニングをせずに必要な持久力を養うことができる少人数制のスモールサイドゲームを通して、育成の原則(例: すべてのプレーヤーに等しく試合時間を与えること)を反映するものとします。各トレーニングセッションにおいて伸ばすべき身体的な性質は、スピードとアジリティです。神経系の成長は12歳ぐらいまで続くので、速筋線維(パワーを生み出す筋繊維)の発達に影響を与えることができます。

コーチは、基本的な目的や目標を達成するという成功体験を引き出し、後押しすることで、将来の参加とパフォーマンスに不可欠な自信を身に付けることに焦点を置きます。

努力を褒め、後押しすることに重点を置くことは、非常に重要なことです。なぜ努力することが重要なのかを理解しなければ、プレーヤーたちは、その後の成功につながるようなコミットメントやトレーニングの強度といった特性を自分のものにすることはできません。将来のトレーニングへのコミットメントの基礎はこの段階で形成されますので、コーチは「宿題」や自主練習を推奨し、チーム競技や陸上競技、体操、水泳など幅広いスポーツへの参加を勧めてください。これには、日常的な遊びや形の決まっていない練習やゲーム(例えば、友達同士のタッチラグビーゲーム)も含みます。

このステージでのコーチの役割は、モチベーションを高め、自信をつけさせ、セッション内およびセッション間での難度を高めていくことのできるようなプログラムを計画し提供することによって、スキルとゲームセンスを向上させることです。このステージにおいて、コーチは、以下のことを行います:

  • 競技への愛着を育み、常に子どもたちに頑張りたいと思わせる楽しい環境を提供する
  • 基本的な目標を設定し、プレーヤーを奮起させる;努力と粘り強さを評価する;そして、客観的かつ建設的なフィードバックを提供することで、改善を促す
  • 練習の中に個人差をつける ― 同じ課題の中でも、それをこなせるプレーヤーに対しては難易度を高め、まだこなせていないプレーヤーに対しては難易度を下げる。ただし、課題は同じにする。そうすることで、プレーヤーは自尊心と自分のパフォーマンスを現実的に評価する能力の両方を身につけられるようになります。
  • 現段階での実力やその将来性にかかわらず、すべてのプレーヤーに平等なプレーとトレーニングの機会を提供する
  • ラグビーの競技規則、精神、バリュー(価値観)を理解し、尊重する心を育む。
  • 現段階での実力や将来性にかかわらず、すべてのプレーヤーに平等なプレーとトレーニングの機会を提供する
  • ラグビーの競技規則、精神、バリュー(価値観)を理解し、尊重する心を育む。

コーチングの仕方

すべてのセッションは、アクティブで、目的を持たせた、楽しめる、そして安全の原則に従い、ゲームを通じたコーチングを可能な限り使用します。

コーチングセッションの時間は、全体で約60分とします:

  • ウォームアップ(身体性コンピテンスの向上) 約15分
  • セッション本体(ゲームを通じたコーチング)約35~40分
  • クールダウン(身体性コンピテンスの向上) 約5~10分

すべてのセッションは、前回の試合でうまくいかなかったことを修正するだけでなく、プレーヤーを育成するための長期的な計画の一環として、目的や目標を設定しましょう。

コーチングの内容

このステージにおいて、コーチは、次のような点でプレーヤーを育成します:

身体性コンピテンス(=身体能力)

身体性コンピテンスは、ウォームアップとクールダウンのガイダンスに従い、ゲームセンス・コーチングを行うことで向上させます。取り組むべき主なエリアは、以下の通りです:

  • アジリティ、バランス、そしてスピード ― スプリント、加速、減速、方向転換、ジャンプ、転倒、立て直しなどを通して養います。ランニングやアジリティのアクティビティ、ジャンプ、スローイング、チームゲーム、レスリングアクティビティ、足腰を使うアクティビティ、回転するアクティビティ、体操アクティビティ、反射神経を使うアクティビティを通して強化します
  • コーディネーション(身体の動きの協調性)― 体操アクティビティやゲームセンス・コーチングで空間認識力や身体的(知覚)能力を養います。限られたスペースの中で、体操やダイナミックな動きを組み合わせて、流れるように動けるようにします(例:ジャンプ前転立ち上がる加速して離れる)
  • ストレングスとパワー ― 競技関連のスキル、軽いメディシンボールを使ったアクティビティ、ジャンピングとホッピング、自重トレーニング、体操と姿勢の良さによって養います。ウェイトリフティングのテクニック(パイプ棒を用いたエクササイズ)の導入もこのステージで行います
  • 持久力 ― ゲームベースのアクティビティで養う
  • 柔軟性とリカバリー ― 効果的なウォームアップ、アニマルウォーク、および適切なクールダウンを通じて養います。また、プレーヤーは、スキルの向上や怪我の予防における可動域の大切さについても理解する必要があります。

適切なウォームアップを構成する

セッションの中で行うウォームアップは約15分とし、プレーヤーがセッションに向けて徐々に準備できるようにします。小児期後期(9-12歳)のプレーヤーのためのウォームアップは、小児期早期(6-9歳)向けの内容よりもレベルをあげて、筋力とスピードの向上に重点を置いています。

これは、そのセッションの目的に合った特定のスキルを指導する時間でもあることを忘れないでください。

ウォームアップには、以下の要素を含めます:

  • 全身運動 ―全身の血流を促進するための軽い運動 ― 2分
  • 軽い特定の動き ― セッションの内容に焦点を合わせる ― 2分
  • 徐々に動きの幅を広げる ― そのセッション特有の動きに基づいた動的柔軟性。アニマルウォークと体操アクティビティを用いて、プレーヤーの身体性コンピテンスを鍛える ― 5分
  • スピード、筋力、コンタクトスキルの向上を目的とした、特定のエクササイズを用いた強度を高めるための動き ― 2分
  • 特定の筋力、スピード、コンタクトベースのエクササイズをフルインテンシティで行います。自重トレーニング、体操、レスリングなどのアクティビティを用いて、目標のインテンシティレベルを目指します ― 4分
  • 適切な内容については、P36~37のアクティビティメニューを参照してください。

クールダウンの重要性

セッション終了後に適切なクールダウンを行うことは、プレーヤーにとって重要なことです。クールダウンについても、身体と心が安静時のアクティビティレベルに戻れるよう、適切に構成する必要があります。また、クールダウンは、特定のスキルについて低い強度で引き続き指導する機会でもあります。クールダウンには、以下の要素を含めます:

  • 全身運動 ― アクティビティ/ゲームがジョギングをする時のペース以上にならないように注意 ― 3~5分
  • 静的ストレッチ ― プレーヤーの柔軟性を高め、将来的な怪我の可能性を軽減する ― 5分
  • 適切な内容については、P50~52のアクティビティメニューを参照してください。

スキルのコンピテンス(=スキル能力)

スキルに関しては、ゲームセンスまたはホール・パート・ホールのコーチングと効果的なウォームアップとクールダウンを通して指導します。コーチは、以下のエリアにおいてプレーヤーを育成することを目指します:

  • ハンドリング
    • パス ―横パス、スイッチパス、ループパス、ポップパス、パスカット、チェストパス
    • キャッチング ― ハンドキャッチ、ハイボールキャッチ、頭上キャッチ(ジャンプ&キャッチ)、ローキャッチ
    • スローイング ― サッカーのスローイングのようにすばやく投げる
  • スペースにいるサポーへパスできるようにする
  • ランニング
    • かわして逃げるスキル ― かわし方/回避の仕方、他者に反応、サイドステップ、スワーブ、スペースを見つけ攻撃する
  • コンタクト
    • コンタクト前、コンタクト中、コンタクト後において、体勢をしっかり維持する
    • レッグドライブ(足を地面に打ち込むように踏ん張ること)/タックルされても立ち続けられる能力
    • コンタクトのある場面でも、自信を持ってプレーできる
    • ボールプレゼンテーション
    • コンタクトの前、コンタクト中、コンタクト後における意思決定
    • 地上でボールを獲得する/立ち上がる
  • ディフェンス
    • タックル ― 個々のテクニック ― フロントタックル、サイドタックル、リアタックル、および、異なるゲームシチュエーションでの正しい選択
    • ディフェンスで前進する
    • ディフェンスでのチームワーク
  • チームワーク
    • チームとしての攻め方、守り方、攻撃と守備で前に出ること、攻守におけるチーム内のコミュニケーション
  • 継続
    • ボールを動かし続けること(コンタクトSOSの階層 ― ディフェンダーをかわす/ タックスをするためにサイドポジションをとる、タックルの前/中/後のオフロードパス、最後の手段としてラック/モールの形成)
  • キックとキャッチ
    • キックとフィールディングのスキル ― プレースキック、ドロップキック、パントキック、ランキック、ハイボールフィールディング
  • セットプレー ― セットピースが持つ、ボールの争奪と攻撃のためのスペースをつくる機会を伴う試合再開のプレーとしての役割の理解
  • スクラム
    • 強くて/安全な体勢を保つ(すべてのプレーヤー)
    • 安全なスクラムを組む手順 ― クラウチ(身をかがめる)、バインド、セット(すべてのプレーヤー)
  • ラインアウト
    • ラインアウトで戦略的に勝ち、相手をよりジャンプする能力(すべてのプレーヤー)
    • 動いているジャンパーに正確に投げる能力(すべてのプレーヤー)
    • 注意:ジャンパーのサポートは、ユースラグビーまで導入してはいけません

メンタルの要素

コーチは、プレーヤーの自信につながる土台を作るよう努力してください。コーチは、建設的なフィードバックを与えながら、次第に難易度が高くなる練習で成功する機会を与えることで、プレーヤーに自信をつけさせます。

可能な限り、セッションにすべてのプレーヤーを参加させます。ゲームベースのアプローチを採用し、セッション中にすべてのプレーヤーができるだけ多く活動できるようにします(プレーヤーが自分の順番を待つためにただ立っていたり、参加していない時間が多くなったりするドリルベースのコーチングは避けましょう)。すべてのプレーヤーの成長を促すことができるようゲームの条件を調整する必要があります。

結果を出すための努力(忍耐力、回復力、集中力、意欲など)を褒めましょう。そうすることで、やる気を促し、課題を克服する努力をするための土台となります。

プレーの原則やコーチングセッションの目的・目標に照らして、プレーヤーが下した決断の結果に対して建設的なフィードバックを提供し、プレーヤー自身で決断することを促すようにセッションを構成します。セッションをできるだけ楽しいものとし、自宅などセッション外の場所でも練習したりプレーしたりするよう促すことで、(コーチ主導の)外発的なモチベーションとはではなく、(自らによる)内発的なモチベーションを高めるように努めます。

セッション中のデモンストレーションやフィードバックは、プレーヤーが成果を収めるために必要となる情報に焦点を合わせます。そうすることにより注意力をコントロールする能力の向上に役立ちます。ゲームを通じたコーチングを行うことで、イメージスキルを習得させることができます。上手くいったことを取り上げて、プレーヤー自身に何が一番うまくいったかを振り返らせることで、次回に向けてポジティブな考えを強化することができます。例えば、2対1の状況をつくり、プレーヤーがトライを決めた場合、「何がうまくいったのか、そこからさらに次はどうしようと思うか」と尋ねてみましょう。また、他のプレーヤーに同じような状況でどうするかを考えてもらうこともできます。

トレーニングと、そのパフォーマンスとの関連性に対して、前向きな姿勢を促します。もし、プレーヤーのトレーニングが不十分であれば、プレーも不十分なものとなる可能性が高くなります。トレーニングとプレーの両方について、グループとしての基準を設定しましょう。

ライフスタイル(生活習慣)における要素

このステージにおける目的は、プレーヤーの今後のスポーツキャリアにつながるスポーツ習慣をさらに促進することです。プレーヤーやその親(保護者)と協力し、以下のことを強化しましょう:

  • 安全性: ワールドラグビーは、すべてのプレーヤーにマウスピースの着用を推奨しています
  • バリュー(価値観): このステージでは、パートナーシップやチームワーク、チームメイトや対戦相手、マッチオフィシャル、そして、ボランティアなどの人たちへのリスペクトなど、ラグビーユニオンおよびチームスポーツの精神や価値観をさらに推進することが重要です
  • ラグビーの競技規則に対する理解を育みます
  • ハイドレーション(水分補給): プレーヤー用のウォーターボトル(水筒)を常に用意しておきます。プレーヤーには、各自でウォーターボトルを持参することを促しましょう
  • 栄養:健康的に栄養を摂るメリットとパフォーマンスに与える利点について
  • 休息:睡眠の重要性およびリカバリーに対する影響について