タックル
タックルは、防御側のチームが、攻撃側のチームの前進を止めるために行い、防御側のチームにとっては、ボールを争奪するチャンスとなります。タックルとタックル受ける技能は、より安全で楽しいゲームをする上で不可欠なものです。オーストラリアや英国の最近の研究によると、ケガの58%がタックルによって起きており、しかるべき注意を払い、正しいテクニックによって、安全かつ適切な習慣を最優先にしてプレー、コーチング、レフリングすることが大事です。このことが、プレーヤーがタックルに自信を持って上達することにもつながります。
競技規則の定義
ボールキャリアが、一人または複数の相手プレーヤーに捕まり地面に倒された場合に、タックルが成立する。
プレーヤーのポイント
あらゆるタックルの状況におけるポイント
タックラー − 相手にコンタクトする
- “視線を上げて”、ボールキャリアを見て、頭を正しい位置に保つ
- ボールキャリアの動きを追い、タックルをするのに十分な距離まで近づく
- コンタクトに備える – しっかりと安定した低い姿勢をとる
- ボールキャリアの後ろまたは左右いずれかの側に頭をつける – ボールキャリアの前ではない
- ボールキャリアに腕を”巻きつける”
- タックルされたプレーヤーを放し、すぐに立ち上がってボールを争奪する
ボールキャリア − 地面にコンタクトする
- ボールは両手で持つ
- ボールを守る – 肘を体の側面につけ、胸の前でしっかりとボールを抱える
- 地面に倒れるときは、お尻から、そして、次に肩から倒れていく
- 倒れるとき、手やボールで自分を支えないようにする
- 味方チームの方を向き、ボールをパス、または、置く、または、渡す
- できるだけすみやかに、立ち上がる
さらに詳しいポイントについては、各タックルの項目を参照してください。
タックルにおけるプレーヤーの安全に関する調査から、以下のことがわかりました:
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ショルダータックル – 正面から |
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ショルダータックル − 横から |
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スマザータックル |
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タップタックル |
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ボールキャリアが地面に倒されて捕まらない限り、競技規則上タックルは成立しなかったことになり、レフリーは、オープンプレーを続けます。
複数のタックラーが参加するタックル |
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タックルの半分近くが、複数のタックラーによるものです。ダブルタックルは、あまり意図して行われず、指導も難しいタックルです。特に若いプレーヤーには推奨されません。
後方からのタックル |
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危険なタックル |
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プレーヤーはすべて、ボールキャリアに対するタックルを行うときの自分の行動に責任があります。タックラーは、危険な方法で相手に”タックル”してはいけません。危険な”タックル”の例には以下を含みます: | |
高い位置でのコンタクト - 胸骨の上の「タックル」 World Rugby Passport - Lower tackle height law trial introduction |
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空中で - 地面から足が離れているプレーヤーに”タックル”する。 | |
スピア/チップタックル - ボールキャリア(相手)を地面から持ち上げ、そのプレーヤーを、上半身、首、または、頭から地面に着地するよう、落とす(チッピング)、または、打ちつける(スピア)。 | |
レイト(ボールを放したあと) - パスが行われた後にプレーヤーに”タックル”する。 | |
アーリー - ボールを持っていないプレーヤーに”タックル”する。 | |
チャージ - 両手/腕を使ってボールキャリアを掴まないまま、そのプレーヤーに”タックル”する。 |
アライビングプレーヤー |
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タックルゲートができるまでタックルの間、両チームのプレーヤーは、自分の味方の方を向くよう回転しようとする。 |
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赤チーム 青チーム |
コンタクトの前 | タックル成立後 |
赤チーム 青チーム |
タックルゲート |
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どのプレーヤーも、ここから参加してはだめ |
赤のプレーヤーは、必ずここから参加
青のプレーヤーは、必ずここから参加 |
どのプレーヤーも、ここから参加してはだめ |
コーチングのヒント
不完全なタックルは、タックラーのタックルの技術よりも、ポジショニングの悪さが原因であることが多いです。正しいポジショニングは、練習で身に付けられるし、練習をする必要があります。タックラーは、ボールキャリアのスペースをつぶし、バランスと安定を取りながら利き足を相手の近くに出し、タックルしながら足でドライブできるよう、肩と腕からコンタクトします。
- プレーヤーの安全なタックルスキルを向上するためのポイントを使う
- 競技規則に従って、タックルでは腕を使わなければいけないことを強調する (前述の危険なタックルの項目を参照のこと)
- 一度に教えるのは、1つか2つのポイントだけに絞る – 1度にあまりたくさんのことを教えない
- プレーヤーをよく見て分析し、良いところを強調、悪いところを直す
- プレーヤーの強化のため、ポジティブで建設的なフィードバックを与える
- 発展的な強化を促し、自信がつくコーチングセッションを考える
- 横からのタックルの段階的指導の例:
- ボールキャリアもタックラーも膝立ち (横からのタックルのみ、頭位置で行う)
- ボールキャリアは立ち、タックラーは膝立ち (レッグドライブを促す)
- ボールキャリアは歩き、タックラーは片膝立ち
- ボールキャリアは立ち、タックラーはかがむ
- ボールキャリアは歩き、タックラーはかがむ
- ボールキャリアもタックラーも歩く
- ボールキャリアもタックラーも走る - スキルの導入や強化の際は、性別、体の大きさ、年齢、ラグビー経験年数に差が生じないようにする
- 見えないプレーヤーとの予期できぬ衝突を避けるため、十分なスペースで練習するようにする
レフリーのポイント
以下を確認すること:
- タックルが肩の線よりも下へ行われている
- タックラーが、腕を使ってボールキャリアを捕えている
- ボールキャリアが地面から持ち上げられた場合、安全に地面に戻されている
- タックラーは、タックルされたプレーヤーを放す
- タックルされたプレーヤーが、すみやかにボールをパスするか、置くか、手から放している
- どちらのプレーヤーも立ち上がっている
- アライビングプレーヤーが、正しいゲートを通って、タックルゾーンに入ってきている
- アライビングプレーヤーが、地面に倒れ込んでいない
次のことにも注意:
- タックルとは言えない、不正な、および/または、危険な行為(前述の危険なタックルの項目を参照のこと)
- ボールの近くにいないのに、相手プレーヤーに対してチャージしたり、妨害したりしているプレーヤー
- 頭または首でコンタクトする、あるいは、首や頭に損傷を与えかねないタックル – これらは厳重に扱われなければいけない